45歳のとき、わたしは何者でもありませんでした。
投資の知識もない。特別な収入もない。ただ、子育てがひと段落して、ふと気づいたら毎月少しだけお金が余るようになっていました。
「このまま預金口座に眠らせておいていいのかな」
それだけの、ささやかな疑問が始まりでした。
45歳。きっかけは「つみたてNISA」でした
2018年、「つみたてNISA」という制度が始まりました。
ニュースで見て、なんとなく気になって、でも最初はよくわかりませんでした。「難しそう」「自分には早いかな」と思いながら、とりあえず口座だけ開いてみました。
最初に入金したのは、500円でした。
次の月は1,000円。「お試し」みたいな気持ちで、本当に軽い気持ちで始めました。これで将来が変わるとは、正直まったく思っていませんでした。
45歳で投資を始めるとき、「遅すぎるかな」という気持ちもありました。20代から積み立てている人の話を目にするたびに、「もっと早く始めていれば」という後悔もありました。
でも本屋で手に取った一冊の本に、こんな言葉がありました。
「投資を始めるベストなタイミングは20年前。次にベストなのは、今日」
読んだ瞬間、スッと肩の力が抜けた気がしました。
やったことはシンプルすぎるほどシンプルでした
調べれば調べるほど、難しそうな言葉が出てきます。でも最終的にわたしがたどり着いたのは、拍子抜けするほどシンプルな方法でした。
インデックスファンドを、毎月一定額、積み立て続ける。
それだけです。
個別株は選ばない。タイミングも計らない。設定したら、あとは見守るだけです。
口座を開設して積立の設定をする——その作業自体は、1時間もかかりませんでした。
500円が、1万円になるまで
最初は月500円、次の月は1,000円。「お試し」のつもりだったのが、半年ほど経つと口座の残高が少しずつ増えてきました。
「あ、本当に増えてる」
その実感が自信になりました。少しずつ入金額を増やして、気がつけば毎月1万〜2万円を積み立てるようになっていました。無理に増やしたわけではありません。残高が育っていくのを見ているうちに、自然と「もう少し入れてみようかな」という気持ちになっていました。
節約して絞り出したお金ではなく、生活の中で自然に回せる金額を、無理なく続けました。それだけでした。
そして気づいたことがあります。投資のことは、始めてから知りました。
始める前に完璧に理解しようとしていたら、きっと今もまだ始めていなかったと思います。500円の入金が、わたしにとっていちばんの教科書でした。
コロナ暴落——恐怖と、3つの出会い
2020年、新型コロナウイルスが世界を襲い、株式市場が大暴落しました。
画面を開くたびに数字が下がっていきます。積み立てていたインデックスファンドも、みるみる含み損になっていきました。「やっぱり向いていないのかも」「もうやめようかな」という気持ちが何度も押し寄せてきました。
そんなとき、YouTubeをぼんやり見ていたら中田敦彦さんのYouTube大学にたどり着きました。お金の話をあんなにわかりやすく、面白く説明してくれる人がいたんだと驚きました。そこから両学長のリベシティも見るようになり、「お金の知識」が少しずつ自分のものになっていきました。
そしてもう一人、桐谷さんの記事にも出会いました。
高配当株や優待株を持ち続け、暴落のときこそ買い増しする——株主優待で生活を豊かにしながら、配当金を受け取り続けるという考え方。「株は怖いもの」だと思っていたわたしには、目からウロコでした。
「この先どうなるんだろう」という不安は、正直ありました。
仕事も、生活も、世界中が先の見えない状況でした。株を買うなんて、このタイミングで?と自分でも思いました。
でも、あるとき頭の中でふっと言葉が浮かびました。
「これって、株のバーゲンセールかもしれない」
優良企業の株が、信じられない値段になっています。平時には手が出なかったような銘柄が、目の前に並んでいました。不安と好奇心が入り混じりながら、思い切って買いました。三井物産、オリックス、三菱UFJ、KDDI、日本たばこ産業……配当をもらいながら長く持ち続けられそうな銘柄を、コツコツ拾っていきました。
あの「思い切り」は、今振り返ると人生で最良の決断のひとつでした。コロナ禍で買った銘柄が、その後+200%、+300%、+400%と育っていきました。
コロナ禍という最悪のタイミングが、皮肉にも投資の幅を広げてくれました。インデックス積立で「土台を作る」、高配当・優待株で「配当を楽しむ」——自分なりのスタイルが少しずつ見えてきました。
複利って、本当にあるんですね
数年が経ったころ、グラフの形が変わり始めました。
最初はほとんど横ばいだったラインが、緩やかに、でも確実に右肩上がりになってきました。ある日、運用益が元本を超えました。お金がお金を生み出している——教科書の言葉が、初めてリアルに感じられた瞬間でした。
積立額は変えていません。生活を切り詰めたわけでもありません。ただ時間が経つにつれて、数字の伸び方が変わってきました。
53歳。4200万円を超えていました
今年、53歳になりました。
ある朝いつものようにアプリを開いて、数字を見て、一瞬止まりました。
4,200万円を超えていました。
45歳から、8年。特別なことは何もしていません。ただ毎月、コツコツ積み立て続けただけです。
感動というよりも、静かな実感でした。花火が上がるわけでも、誰かに祝われるわけでもありません。ただ、画面の中の数字がひとつの節目を超えていました。
「あのとき始めてよかった」と、45歳の自分に言ってあげたいです。
今の資産、全部見せます
せっかくなので、現時点の内訳をそのまま公開します。
| 種別 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 投資信託 | 2,672万円 | eMAXIS Slim S&P500・オルカン中心 |
| 高配当・優待株 | 841万円 | 三井物産、三菱UFJ、オリックスほか |
| iDeCo | 394万円 | eMAXIS Slim S&P500(+156%) |
| 現金・預金 | 416万円 | 生活防衛資金 |
| 合計 | 4,330万円 |
投資信託はほぼ全額、eMAXIS Slim S&P500とオルカンだけです。難しい選択は何もしていません。
iDeCoも同じくS&P500一本。取得額153万円が393万円になりました。税制優遇まで含めると、iDeCoは本当にやっておいてよかったと思っています。
高配当・優待株で特に大きく育ったのは——
| 銘柄 | 損益率 |
|---|---|
| 三菱UFJフィナンシャル | +499% |
| オリックス | +402% |
| 三井物産 | +325% |
| 三井住友フィナンシャル | +321% |
| ENEOSホールディングス | +259% |
| 日本たばこ産業(JT) | +213% |
これらはすべて、コロナ暴落のときに「バーゲンセール」だと思って買った銘柄です。当時の不安を思い返すと、よく買えたなと自分でも思います。でも、あのとき動いたことが今の数字につながっています。
そして今、これらの株が年間約26万円の配当金を生み出してくれています。
月換算すると約2万円。何もしなくても、毎月2万円が入ってきます。旅行の費用に充てたり、ちょっといい食事に使ったり。「お金が働いてくれている」という感覚が、日々の生活をじんわり豊かにしてくれています。
同じ世代のあなたへ
このブログを読んでいる方の中に、「今さら投資なんて」と思っている方がいたら——
45歳から始めても、53歳で4200万円になります。
難しいことは何もいりません。必要なのは、シンプルな方法と、やめない意志だけです。
人生は、50代からいつでも新しくスタートできます。わたし自身が、それを証明できたと思っています。
わたしがやってきたこと・やらなかったこと
| やってきたこと | やらなかったこと |
|---|---|
| 毎月一定額を積立(設定したら放置) | 相場を読もうとする |
| 暴落時も積立設定を触らない | 焦って全部売る |
| 高配当・優待株で配当を楽しむ | 難しい金融商品に手を出す |
| 生活費を先に確保してから投資 | 余剰資金以上を投資する |
次回は、この資産をどう「使う」か——旅とサイドFIREの話を書こうと思っています。
投資には元本割れのリスクがあります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。